クリスマスに買ってもらったビオラのお話。バイオリンより大きく、チェロよりちっちゃい弦楽器、ビオラ。義兄は最近、チェロを始めてはまっている。借りて弾いてみたが小柄な私には大きすぎた。かといって、バイオリンは幼少のころより体で覚えないといけない楽器だ。弾くなら中間のビオラがいいなあと思っていたけれど、「もうすぐビオラが来るよ」と年末に言われたときは、てっきりジョークだと思っていた。金額も半端ではない。「ははは、まさかあ~、、、」と答えていたら、本当に来た。その後は、柔道日記その1を彷彿させるような展開だった。音の出し方から弓の動かし方、義兄の手取り足取りの厳しい指導(実を言うと、初日に早くも音を上げてしまったのだが、、、)。その後少しずつ弾けるようになるのがおもしろく、毎日のように弓を動かす基本を続けた。
ビオラという楽器は地味で、オーケストラでも中くらいの音程のさほど難しくない?リズムを刻んでいるパートだ。他の楽器の人たちからは、「ヴィオラジョーク」として親しまれ、かわいがられている。ヴァイオリンを弾く人よりもヴィオラを弾く人は脳みそがちっちゃい(弦楽器と頭の比率を考えると、バイオリンの人より頭が相対的に小さく見えることから)だの、そこから派生して、ビオラを弾く人は、「右手に弓」「左手に楽器」というメモをいつも持っていないと弾けないだとか、むちゃくちゃなことを言われている。演奏の腕のいい人は、きかせどころの多いバイオリンを選ぶことが多いから、損な役回りのビオラであるが、音色はきんきんとしたソプラノではなく、アルトやテノールの歌声のように落ち着いているし、重厚なオーケストラらしい和音を生み出すために不可欠の楽器。ようし、義兄と一緒に合奏してやるぞ!またもや、むきになる、菰池であった。
1月になって、初心者用のビオラ教本(そんなの、私以外に買う人いたんか?と、逆に驚く!)を和歌山で買いこみ、手探りで弾いていると、バイオリンを習っている義妹が、正しい楽器の構え方、指使いなどを丁寧に教えてくれた。家族に弦楽器を弾ける人がいるというのは、音楽上達の早道だ。練習曲をたくさん聴くことができ、耳を鍛えることができる。わからないこともすぐに聴けるし、なにしろ仲間がいるというのは張り合いがある。
最初に教わる練習曲と言うのが、なぜか「日の丸」であった。バージョンがいっぱいあって、弾きごたえがあるが、ちょっと難点がある。外国受けしないことだ。話が飛ぶが、この1月末に(義兄がインド旅行中に)実家の父と70歳の祝い(本当は今度69歳であったが)にタイに行って来た。そこで、路上でバイオリンを弾く少年に出会った。私は早速、少年を捕まえて弾かせてくれと頼むと、快く貸してくれた。そこまではよかった。だが、私が曲として格好がつくのが、まだ「日の丸」だけだということに気づいた。ここタイで日の丸?まず、歌を知らない人か、いっそ日の丸が嫌いな人が多いかもしれない。くそ!帰ったらきらきら星を練習してやる!と後悔しつつ、へたくそなきらきら星を演奏した。彼は、礼儀正しくほめてくれた。その後、少年の流れるような演奏が始まったとき、人々から拍手喝さい。少年の前のバイオリンケースにチップが弾んだことは言うまでもない。私は意図せずに「さくら」になっていたようだ。彼の演奏を際立たせて、もりあげたのだ。
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